愛と幻想のアジャイル

道産子ソフトウェアエンジニアの技術メモ

企業は、新入社員に「オーナーシップ」を持てと言う前に「リーダーシップ教育」を行うべき

新入社員に「オーナーシップ」を持って欲しい、という記事を読んだ。

 

オーナーシップとは「自分のタスクを上からの指示ではなく、自分自身の課題と捉えること」だ。
 
非常に頷ける言葉だ。
 
昔は「作れば作るだけ売れる」という時代があり、大量の社員が上の指示通り動くことで、大量の製品を生産して、大量に売っても需要はそれを超えていた。
 
しかし時代は変わり、不況のなか消費者の財布の口は固く、需要は激減した為に、他社より優れた製品を売ることが必要となった。
為に、社員には、自らアイディアを出し、自ら効率化し、最小コストで最大の効果を出すことが求められている。
 
「作業者」ではなく、社員一人一人が「これは会社の価値になるのか?」と考え、仕事の成果を出す「知的労働者」になることが求められている。その為、オーナーシップは必要な資質となった。
 
しかしそこで気になる点がある。
企業は社員に「リーダーシップ教育」を行っているのか?だ。
 

リーダーシップ教育とは


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従来の「作業者」から「知的労働者」になるにはリーダーシップの資質が必要だ。すなわち、
  • 自分を組織の末端と考えずひとつ上の目線(リーダー、経営者など)で仕事を俯瞰する能力
  • 率先して行動する能力
  • 作業と仕事の違いを見極め、価値を出さない作業は止める決断力
 
など。
 
これらを新入社員に教育せずに結果だけ求めるのは、企業の怠慢と言わざるを得ない。
 
私が参照した記事の企業はそうでないと信じたいが、こういう事例があまりに多く見受けられるので、苦言を呈した。
 

アンチパターン

参考までに、よく見かけるアンチパターンを列挙しておきたい
 
  • 作業の目的、背景、何故これをするのかを説明しないまま仕事を指示する
  • プロジェクトの目的、背景、何故このプロジェクトを行うのか、プロジェクトで誰が喜ぶのかを説明しない
  • スケジュールが可視化されていない
  • 残業を依頼してくる時、何故今日残業が必要なのか理由を説明しない
 
上記を怠っている場合は、メンバーに必要な情報を与えず、不要な不安を抱かせている事を知るべきだ。
 
情報の囲い混みは、トップダウンの強いブラック企業で顕著だ。
 
また新入社員は、上司に自分のタスクの目的などを聞いてみると良い。
もし「知らなくても問題ない」というような返答なら、風通しの悪い、隠蔽体質な企業であるか、そういう人材を許容する企業であるので、長居は無用かも知れない。